Case Studies

Cornerstone3Dを用いたROIベースのボリューム編集

背景

私たちのアプリケーションでは、CTやMRIスキャンなどの医用画像データを可視化するために、3Dボリュームレンダリングを使用しています。レンダリングによって有用な洞察が得られる一方で、ユーザーが3Dボリューム内で特定の関心領域(ROI)を直接分離・検査する機能が不足していました。この制限に対処するために、インタラクティブなROI選択とボリュームの調整を可能にするCROP機能の実装を目指しました。


課題

私たちが直面した主な課題は以下の通りです:

  • インタラクティブ性:複雑な3D環境内で、ユーザーが直感的に関心領域(ROI)を描画・調整できるようにすること。

  • ボリューム操作:周囲のデータを乱すことなく、ROI内のボリュームデータのみを変更すること。

  • パフォーマンス:ボリュームデータにリアルタイムの変更を加えながらも、スムーズな性能とレンダリング速度を維持すること。

  • 統合:ReactJsとElectronJsで構築された既存のシステムに、新しい機能をシームレスに統合すること。


解決策

私たちは、Cornerstone3Dを活用してCROP機能の実装に成功しました。Cornerstone3Dは、ボリュームデータの操作に柔軟なツールを提供してくれました。具体的なアプローチは以下の通りです:

  • インタラクティブなROI描画:ユーザーがレンダリングされたボリューム上に直接ROIの境界線を描画できるようにしました。

  • マスクの適用:カスタムマスクを適用し、ROI内部のボクセルデータを保持しつつ、外部領域をマスキングしました。

  • ボリュームの更新:CROP結果をリアルタイムで表示ボリュームに反映させるダイナミックな更新を実現しました。

  • UI統合:Electronベースのデスクトップアプリ内に、CROPツールおよびコントロールを統合し、クロスプラットフォーム対応かつネイティブな操作体験を提供しました。


成果

  • 使いやすさの向上:ユーザーは特定の関心領域に集中できるようになり、診断および分析能力が大幅に向上しました。

  • 精密な制御:CROP機能により、ボリュームデータを細かく制御できるようになり、より高度なセグメンテーションと分析が可能になりました。

  • ワークフローの改善:放射線科医や研究者は、不要なボリュームデータを簡単に除外できることで、より最適化された作業プロセスを享受できます。

  • 性能維持:効率的なマスキングとレンダリング更新により、パフォーマンスはスムーズでレスポンシブなまま維持されました。


結論

医用画像アプリケーションにCornerstone3Dを用いてCROP機能を統合することで、3Dレンダリングボリューム内での精密な分析を可能にする強力なツールを追加しました。この機能強化により、ユーザーはボリュームデータをより柔軟に制御できるようになり、Cornerstone3Dのようなオープンソースライブラリが臨床および研究現場での実用性を備えていることを示す好例となりました。